2024年4月– date –
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西暦493年以後 その1 南朝斉で何が起こったのか
西暦493年(南朝斉の永明十一年・北魏の太和十七年)以後しばらく、南北両朝で重大な出来事が集中して起こっているにもかかわらず、あまり注目されていないようだ。南朝斉での動きを追ってみた。一部は割愛したものの資治通鑑をベースにした長文である。月は旧暦、年齢は数え年とした。 493年1月、皇太子の蕭長懋(斉武帝蕭賾の長男で蕭道成の孫)が死んだ、享年36。蕭長懋は調和のとれた人柄で、遊興を好んだ晩年の蕭賾に代わって一部の決裁を代行していた。一方で、蕭長懋は贅沢好きであったため、太子死後に訪... -
魏晋南北朝史の文献を巡る現状
・正史全訳まずは正史全訳の通読が基本になる。中国正史の訳出状況について、国立国会図書館でまとめられている。https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/asia/post_73 史記、漢書、三国志については、価格や入手難易度などから筑摩のものが標準的なテキストになっている。後漢書について、岩波と汲古書院のものとどちらを優先すべきか悩ましい。最近出版されている早稲田文庫のシリーズで全訳が揃うかどうかに注目している。史記、漢書、後漢書、三国志以外の正史全訳は無い。つまり、魏晋南北朝に関わる正史は、ほと...
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