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爾朱栄集団というオールスターチーム
六鎮の乱 華北を統一し五胡十六国を終わらせた北魏は、北方の異民族である鮮卑拓跋部という部族を中心とした国家である。根拠地が北方であったこともあり、華北統一時点での首都は中華でも北方にあたる平城(山西省大同市)という都市だった。その北魏がさらに北方にいる異民族(柔然や高車)の脅威に備えて、配置した防衛機関を鎮という(馬の機動力を削ぐ土木工事でなく人で防御するという発想に北方民族らしさを感じる)。それらの鎮のうちで最も有力であった6つ(沃野鎮、柔玄鎮、懐朔鎮、武川鎮、撫冥鎮、懐... -
実は五胡でも十六国でもない時代
五胡とは 五胡とは、一般に下に挙げる5つの異民族を指し、当時を代表する国家の創始者との対応も文献に記されている。 ①匈奴:劉淵を始祖とする匈奴漢もしくは前趙②羯 :石勒を始祖とする後趙③鮮卑:慕容皝を始祖とする前燕④氐 :苻洪を始祖とする前秦⑤羌 :姚萇を始祖とする後秦 上記のように五胡の対象民族がほぼ固定したのは13世紀頃とされる。しかしながら、後述するように五胡だけですべての国家をカバーできない。五胡というのは、あくまで慣用的に使われている数字に過ぎないという理解が必要である。 ... -
後漢から西晋まで、その根底にあるもの
後漢(*)から曹魏、曹魏から西晋に至る王朝交代には、歴史的必然性があった。その背景について概説する。 *五代十国の後漢と区別するため、このブログにおいて前漢・後漢ではなく、西漢・東漢と表記する 長期政権となった東漢だが、外戚の専断に対するカウンターとして皇帝権の強化を目指した、宦官の跋扈はその結果である。また、行財政改革目的もあったようだが、売官・汚職などが横行するようになっていた。そして、こうした風潮を正そうとした清流派官僚は党錮の禁により弾圧された。 そのため、東漢政府は...